洗濯物を取り込んで、シャツを折り、タオルを重ねる。一度たたむと、面積が半分になる。もう一度たためば、さらに小さくなる。広がっていたものが、箪笥に収まる形に変わっていく。しわをのばすと、指先から小さな音がする。布を回して角を合わせると、心が落ち着いていく。ただ、体が覚えているだけだ。
母のたたみ方を思い出す。角は、きほん揃っていない。たたむってことを、もっともおおらかにしたらこうなる、というたたみ方。曲がったまま、積まれていく。話していても、手は止まらなかった。テレビの音が遠くで混ざり、手元にフォーカスが寄る。服が山になって崩れ、また積み直される。箪笥に入れ始めると、その山がみるみる低くなって、畳の模様が広がっていく。
我が家では、バスケットに入った洗濯物を、テーブルに置いてたたんでいく。スペースが限られているので位置どりが大切だ。靴下、下着、Tシャツ、タオル。たたむうちに、布のあいだから風が抜けていく。