わずか10人。先月Googleで「モジュラーシェルフ」と検索した人の数だ。英語(modular shelf)でも、世界全体で3600人ほどにすぎない。検索の世界では、砂粒のような点にすぎない。「モジュラー」というコトバを最初に耳にしたのはたしか、NHKの日曜美術館で観た建築家のインタビューだった。部分と全体が相互につながりあい、一つの全体をつくるという、そのコトバを取り巻く、どこか憧憬めいた言い回しが印象に残った。
直訳すれば「組み立て棚」や「拡張棚」になるだろう。でも「モジュラー」には、部品の集合であり、部分と全体を同時に指し示すような、独特の響きがある。検索数は、興味の痕跡だ。けれどまだ、日本では興味とコトバがつながっていない。だからONCEはあえて「モジュラーシェルフ」を選んだ。まだ小さなコトバの居場所。そのいくつかには、プロダクトデザインを手がけた「工藤桃子」の名前が紐づいている。
「ONCE」「モジュラーシェルフ」「工藤桃子」。この3つの点を核に、さまざまな点がつながりながら広がっていく。棚という実体の周りを、コトバが小さな衛星のように巡りつづけている。そんなイメージが、ぼんやりと浮かんでいる。