若き頃の竹中直人が、笑いながら怒る動画を、ふと観返す。感情がバグったときの表情に、嘘のような真実味がある。
映画『Shall we ダンス?』の青木富夫役に代表されるように、竹中直人の演技は、動きも発声も日常のスケールを軽々と超えて、過剰に見える。でも、その過剰さが「キャラクターが抱える必死さや繊細さ」を浮き彫りにするとき、いつの間にか観客の目には「痛々しいほどの実在感」として映りはじめる。
竹中直人は、たぶんすごくシャイな人なんだろうと思う。素のままでは立っていられないほどの羞恥心があるからこそ、何かに憑依したような極端なパフォーマンスが必要になる。その「隠そうとする力」と「暴れようとする力」のぶつかり合いが、画面を通して、どこか身に覚えのある存在として伝わってくる。
どこまでが自意識で、どこからが衝動なのか。その境界線が溶けて、感情の回路が焼き切れる寸前の火花。それが見たくて、またあの動画を再生してしまう。
人間は、ひとつの感情だけで整理できるほど単純じゃない。笑いと怒り、羞恥と顕示。そんな矛盾した感情を同時に抱えているのが、むしろ自然なのかもしれない。そう思うと、あの奇妙な振る舞いも、私たちが普段うまく言葉にできずにいる「何か」を、ただ素直に表に出しただけなのかもしれない。